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聞いていた通り水谷主任のところへ行くと、すぐにデスクに案内された。
デスク上が全く同じ状態で並んでいる空間は、ここが通常のオフィスと違う職の空間だと感じさせる。
そしてパソコンとヘッドセットと一緒に置いてあった薄っぺらいマニュアルを示され
「この通りに始めると、全て画面に指示があります。それに沿って業務研修を進めてください」
と言って水谷主任は戻って行く…のかと思えば振り返り
「ここでの正社員は私ともう一人、そしてあなただけ。電話受付開始の30分後には他の人が来るけれど、それぞれの時間に来て、自席で電話を取る、また契約の時間に帰って…の繰り返しで、いちいち挨拶しなきゃとかいらないから」
親切なのかどうか分からない補足をする。
「私ともう一人がシフトを組んで、どちらかが20時までいるようにしています。今さらシフト変更して、あなたを組み込むことはしません。正社員だからとあなたが残っていたって、ここで何の責任を持った対応も出来ませんから」
親切ではなさそうだ…
「だから、あなたはこれまでの経理部と同じ時間の出退勤でいいです」
「おっしゃっることは分かりますが、それではこの電話受付開始までの30分、何をすれば…」
「はぁ~そうよね…とにかくマニュアルを覚えられたら考える、でいいでしょ。それまでは毎日30分の研修だと思えばいいわ。だいたい…それ、今日でクリア出来るような研修内容ではないから」
そうなんだ…
「研修社員が主任の私より高給取りって笑うしかやってられないわ」
あぁ…完全に良く思われていないのだ。最初の10分でこれか…
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