好き…嫌い?

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そりゃ、すずめ屋で “勝ったら○○” という部分だけを聞けば賭け麻雀の噂にくらいなるね。っていうか、そんな噂も通報も正常だと感じるくらい、会社の噂の方がキツいな…大勢いる中に真実を知る人はたったの数名。そしてその数名は役員とか、噂しそうにない人…でもメールを見た人がいるか… はぁ…会社で犯罪捜しなんて違うよね。根本が分からないから、腹立たしくて悲しくても誰にも文句のひとつも言えないのが辛い。 そして…トイレにポツンと座っている自分を客観的に脳裏へ映し出したとき、これまでの人生で味わったことのない気持ちと一緒に涙がこみ上げた。 ここでは泣けない。もしかしたら会社の誰かを喜ばせてしまうかもしれないもの。 負けるものかと立ち上がり、藤司が早く尻尾掴んでくれることを信じ、この飲み込んだ気持ちが飲み込めなくなったらケンちゃんに迎えに来てもらおう…と思った。 どっちも人間として好き…だから頼らせて。これくらいの逃げは許して欲しい。 “一日無事に終わって帰ってるかと思って” 夜になってケンちゃんから電話があったのは嬉しかったけれど、気持ちを吐き出す程度が難しい。気を抜くと泣きそうだもの。 「何とか終わってる…でも…」 “うん?” 「……人間って、怖い存在だって初めて感じた」 “和花、それ…大丈夫じゃないだろ?” 「そうだね。でも、もう一日くらいは頑張ろうかな…簡単に逃げたくないから」 “分かった。問題は仕事か職場みたいだな…有給もあるだろ?時間も有効に使って考えて” ケンちゃんは私がはっきりと説明しない中でも、考えられる対処法を今日も教えてくれた。
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