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「去年約束したでしょ?」
「何一つ約束などしてないが?」
「忘れたの?」
「元の約束がないものを忘れようもないんだが?」
「忘年会したでしょ?」
なんだ…この質問続きは…と武本先生を見ると遠い目をしている。
「どんな約束って?」
遠い目をしたまま、どうでも良さそうに聞いた武本先生に
「私と三原くんのどっちも40歳で独身だったら結婚するって約束をしたのよ」
南田さんは顎をくいっと上げて自慢げに応えた。
「あぁ…それ、酔っぱらいの戯言で僕と南田さんで言ってたやつだね。三原くんはその場にいただけで無関係。あ、有田和花ちゃん。ついでに補足情報で言うと、僕は先月結婚しましたっ」
「あ、どーもーおめでとうございます」
「ありがとうございます」
「ついでに言うと、なんでフルネーム呼びでしょ?」
しかも最初は“さん付け”だったのが今は“ちゃん”
「有田和花ってすごくいい響きだから」
「……ありがとうございます?」
武本先生に応じながらも、その隣で顔色を変えた南田さんに視線はいってしまう。
「…酔っぱらいの戯言……」
「そうだね」
南田さんの独り言を武本先生が肯定すると、彼女がぷるぷると震えた。
「年末、めちゃくちゃ酔ってた時か…最悪」
「三原くん。酔っていようが、シラフであろうが、今回の行為に結びつけるのは全面的に南田さんに非がある。その行為によって酷い思いをした有田和花ちゃん。言いたいこと言っていいよ」
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