決着、未来…酒?

6/19

4035人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
「去年約束したでしょ?」 「何一つ約束などしてないが?」 「忘れたの?」 「元の約束がないものを忘れようもないんだが?」 「忘年会したでしょ?」 なんだ…この質問続きは…と武本先生を見ると遠い目をしている。 「どんな約束って?」 遠い目をしたまま、どうでも良さそうに聞いた武本先生に 「私と三原くんのどっちも40歳で独身だったら結婚するって約束をしたのよ」 南田さんは顎をくいっと上げて自慢げに応えた。 「あぁ…それ、酔っぱらいの戯言で僕と南田さんで言ってたやつだね。三原くんはその場にいただけで無関係。あ、有田和花ちゃん。ついでに補足情報で言うと、僕は先月結婚しましたっ」 「あ、どーもーおめでとうございます」 「ありがとうございます」 「ついでに言うと、なんでフルネーム呼びでしょ?」 しかも最初は“さん付け”だったのが今は“ちゃん” 「有田和花ってすごくいい響きだから」 「……ありがとうございます?」 武本先生に応じながらも、その隣で顔色を変えた南田さんに視線はいってしまう。 「…酔っぱらいの戯言……」 「そうだね」 南田さんの独り言を武本先生が肯定すると、彼女がぷるぷると震えた。 「年末、めちゃくちゃ酔ってた時か…最悪」 「三原くん。酔っていようが、シラフであろうが、今回の行為に結びつけるのは全面的に南田さんに非がある。その行為によって酷い思いをした有田和花ちゃん。言いたいこと言っていいよ」
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4035人が本棚に入れています
本棚に追加