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震える南田さんがキッと私を睨み、藤司が私の手を握る。
「私が酷い思いをしていることが南田さんを喜ばせるなら絶対に言わない」
絶対に負けない…負けたくない。酷い思いを口にして涙でも浮かべようものなら、南田さんの思うつぼ。絶対に嫌だ。
「ん、和花がそれでいいなら俺があとで受け止める」
ぎゅっと藤司の手を握り返して
「飲まれるならお酒を飲むなっ。取り返しのつかない失敗をするなら飲むなっ。お酒に失礼よっ。あなたのしたことは失敗なんていう言葉で言い表せないんだよ?人の麻雀がどーのこーの言ってないで、自分の飲み方を反省してっ。アラフォーにもなった女がみっともない醜態晒してんじゃないよっ。それで通報だの匿名メールだの卑怯で汚いやり方よっ!」
と一気に言い放った。
「アラフォーってっ…関係ないでしょっ?」
彼女も目を見開いて言い返すけれど、出目っぽい私に目の大きさで勝てる人はそうそういないのよ。
「ああ、関係ない、関係ないです。関係ないけど、あなたは…ぼーっと40年生きてきた人間のようなバカなことしたのよ?人の生活も気持ちも何も理解出来ないなんて園児以下でしょ?まずは謝って……私に謝って。すずめ屋にも謝りに行って」
「嫌よ。だいたいまだ40年も生きてないわっ。私は、夜な夜な麻雀と酒を愛してます、みたいな…あなたのような、男みたいな女が大嫌い」
「「はぁぁぁぁ?」」
ここで声を揃えたのは先生二人だ。はぁ…疲れた…喉乾いた…ビール飲みたい。
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