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「南田さんって…そんなんで男だとか女だとか言うんだ……しょうもないステレオタイプだね……」
それだけ何とか口にして、もう休憩…と背もたれにもたれた私の後頭部を一撫でした藤司が
「いろいろと問題だが、謝るのは常識中の常識。会ったことも無い者を嫌いだとか、自分勝手以上に勝手過ぎる」
と言うと
「どうする?ここで決められそうにないな。邦子先生か?」
と武本先生が藤司を見た。また先生?
「和花。邦子先生は益岡邦子という弁護士。俺たちと、お互いに仕事を紹介することのある先生なんだ」
「うん」
「今回、和花が南田を訴えるならっていう相談をした」
そういうことにも走ってくれてたのか。
「会社などで受けた苦痛について慰謝料、異動による逸失利益…これは本来得られるべきであったにもかかわらず、債務不履行とか不法行為で得られなくなった利益のことな。あとはメールが事実でないから名誉毀損も…これだけ和花が訴えることが出来る」
「ん、教えてくれてありがとう。犯人捜しのあとが大変だったよね」
「和花に比べたら全然大変じゃない。今の弁護士の話は、南田が理解出来るはずで、ここで示談、和解というのもありかと思っていたんだが…当事者同士で話が出来ないなら代理人同士だな」
「弁護士同士ってこと?」
「そう」
「いくら払えばいいのよっ?」
「え…っ…南田さん…謝らないのにお金は払うんだ…非を認めてるってことだね」
よしっ、負けはしなかった。頑張ったよ…私。
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