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「あと、和花の代理人として邦子先生に和花の会社へ申入れの依頼を考えている」
藤司は仕事をこなしながら、どこまで完璧に終息を描いているのか。
先般のメールは事実無根であり、私が被害者であること。
安易な事実確認での不当な異動処分は会社側に非があること。
対人関係において受けた精神的苦痛は多大であり、勤務継続が不可能であること。
これらの経緯と事情により退職を申し出る予定であるが、会社側の対応を聞かせて欲しい。
こういう申入れをすると、会社側も代理人を通して何らかの回答があるのが通常らしい。
これは藤司に任せた結果を先にいうと…私が有給をフルに使う間、1週間ほどあとに会社側から本当に回答があった。
部長たちや関係した社員への聞き取り調査などをした結果、有田さんの精神的苦痛は想像に容易である。よって対応を検討した結果、今回のことが会社側に落ち度があったと全社員にメール通知を完了させたこと。私の退職については再考して欲しいこと。そのうえで辞表提出ということになれば、社長と役員より謝罪の場を設けたいので、出来れば会社まで来て欲しいこと。またその場合、会社規定では勤続年数10年以上で退職金が発生するが、勤続年数7年の有田さんへ退職金を支払う。
これが後日談…もちろん謝罪を頂き退職した。腫れ物に触るみたいに扱われるのも嫌だもの。
「すごい荷物…」
出て行く南田さんはどれだけ私物を置いていたのだ…
「三原くん、武本くん、お世話になりました」
「「どーも」」
「じゃあね」
「おいおい…って、もういいか…クソだな」
「人となりを知るってやつだな。こんなんで謝られたって、和花の胸糞悪いからいらない」
クソ…胸糞悪い…二人の先生はお上品なようだ。胸糞悪いのは藤司もだよね。
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