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「寝てないとーじは帰っていいぞ」
としげちゃんが言い出したけど
「のんちゃんもきっと疲れに疲れてるよね…気付かないほど気が張っていただろうけど。今日は二階に上がってないで帰った方がいい」
とおばちゃんが私と藤司を立たせる。
「今日はうち臨時休業だから、金はいらない。また来てくれ」
「ホント?結構飲んだよ?食べたし…」
「いい、いい。今度巻き上げるわ」
「ハハッ…いつものどかがワシらから巻き上げるがな」
「おっちゃん、しげちゃん。その巻き上げるトークは私がお金を受け取るように思われるんだってば」
「「思わせておけ」」
「まあそうだね。おっちゃん、おばちゃん、ありがとう。ごちそうさまでした。また来るね」
私がお酒をやめるなんてことないもの。麻雀だって散歩と同じような日常だ。
「先生、おつかれさんだったな」
私たちが店の外に出た時、チョウさんの声が聞こえて藤司が体ごと振り返る。
「ご心配とご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした。今後もどうぞよろしくお願いします」
そう言って店の中に向かってガバっと腰から折れた。私はその後ろから4人に大きく手を振り歩き始める。
長い一日だった…濃い一日だった…疲れたかもしれない…
「和花」
すぐに手を繋いだ藤司に
「ありがとう」
ただそれだけを伝えると、彼は
「正解は分からない…相手に無理やり土下座させるのが正解という人もいると思う。でも和花が納得してくれたなら、それが正解でいいと俺は思う。先に進めてこそ、正解だと思うから」
と言った。
「私は藤司が整えてくれた結果に納得も満足もしてるし、感謝もしてるよ。先に進めてこそっていうのは…ホントその通りだから、これでいい」
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