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「昔から“飲む、打つ、買う”はワンセットだからな」
「そういうこと。とーじ、のどかを送ってくれ。買われたということを忘れんようにな」
「はい」
おっちゃん、しげちゃん、藤司のワル乗りだと呆れながら、帰り道を歩き始める。
「近くだから一人で大丈夫」
「こんな時間に?」
「治安のいい場所だよね。藤司んちは、どこ?」
「◯◯駅」
「ちょっと遠い?30分くらい?」
「かな。事務所はもっと近いんだ」
「事務所?」
「ああ…これ」
歩くスピードを落として、彼は私に名刺を渡した。
「所長?……藤司の事務所?社長ってこと?」
「士業、同級生3人で立ち上げたから、とりあえずの所長が俺になってるだけ」
税理士法人三原総合事務所
所長 税理士
三原藤司
他に司法書士と社労士の同級生で成り立っている事務所らしい。
「士業先生…すごいですね」
「急に丁寧語?」
「なんとなく?」
「それも可愛いけどね」
「酔ってきました?」
「全く。でも気分は最高にいい」
「不思議…私は負けて、気分が最高なんてないけど」
「うん?和花に買われたのは最高だなって、軽く興奮状態だ」
もう私のハイツが見えたんだけど…なんだかよく分からない興奮が伝わってきて、藤司を見上げた。
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