愛情…種類?

9/13

4146人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
「今日、俺んとこ泊まる?その買い物しようか…あ、そうだ…ここS町だよな…」 と、突然スマホを操作する藤司の唇がツヤツヤ過ぎるので、手のひらでゴシゴシしながら“うん”と返事をする。 彼の、ゴシゴシされたままスマホを操作し 「事務所が…」 と唇を動かす感覚は私のズボラさと若干似ていて落ち着く。 「何の話?」 「うちのマンションが事務所より遠いだろ?」 「ここからだと事務所の方が近いんだよね」 「事務所が真ん中くらい。ここはすずめ屋が近いし、俺が引っ越そうと思って」 「えっ?大掛かりな……感じでビックリ…」 「そうか?今、不動産やってる知り合いとお客さんのどちらにも“うちの事務所からS町の間のマンション紹介して”って送ったから、近々返事があると思う」 相変わらず仕事が早いな、と思っていると 「一緒に住もうか?二人一緒に…どう?無理にとは言わない。俺は一緒がいいけど、和花のいいタイミングもあると思うからな」 彼が私を見つめた。 「うん?何か可笑しい?可愛く笑ってるけど?」 「フフフフッ…可笑しい…」 「何が…そんなに楽しそうなんだ…」 彼にも笑いが伝染したのか笑っている。 「不動産の連絡で“仕事が早いな”って思ってたら、藤司がもうひとつ先にいたから」
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4146人が本棚に入れています
本棚に追加