愛情…種類?

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「そうか…でも和花の先、先、へ行こうとは思っていない」 彼は私の手を引いて玄関へ行くと 「このくらいの距離感じゃないとな…すぐに隣にならんだり、サッと後ろから支えたり背中を押せる距離」 と私の髪を撫でる。 「びゅーんと前に行かない藤司が好き…」 「何でも相談ってこと。俺は今日また和花を好きになった…ケンちゃんの時に電話くれて」 「うん……一緒に住むのは…いつでもいいけれど、一応親には前もって連絡するよ」 「それはそうだな。大事な娘が知らないうちにっていうのはダメだ…明日でも来週でも、部屋を決めたあとでも、そのずっとあとで和花が引っ越ししたくなった時においで。俺もその前には和花の親に会う。でも俺、真面目に付き合ってるからさ、付き合ってる人がいるってのはもう言っておいて」 藤司は冗談も言うし、軽快に話すけど、基本的に真面目な性格なんだと思う。私は安心して、彼の運転する車でショッピングモールへ来たわけだが… 「ねぇ…藤司の引っ越しは決定なんでしょ?だったら荷物は増えない方がいいよ」 ゆっくりお昼ご飯を食べて、手を繋いでぶらぶら歩きを始めて、デートだぁという感じだったところまではいい。 でも、本日のお泊りセットを一式揃えるに留まらず 「これも着る?似合うはず」 と私にアレコレ買おうとするのはどうなの?しかも、私が試着を面倒がると見越して、私の体にヒョイと当ててみただけでぽいっと買うんだ…すっごく楽しそうで、止め方が遠慮がちになってしまう…
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