愛情…種類?

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藤司のマンションは物が少なくて、広々としていた。 「ここで私も暮らせる広さだ…」 「そういう前向き発言、大歓迎。でも部屋数がな…もうひとつ欲しいかも」 「そう…私は……一緒に住むって前提で一応前もって言うけど…」 「言って、言って、言ってくれ」 「掃除とかしないのかってレベルで…ズボラさとだらしなさを兼ね備えてるから、狭いのが好都合っていうか…」 これまでもそれでフラレた。一緒に暮らしてなどいないけど、私の暮らしぶりが見えると… 「あっ、でもねっ…でも、藤司はこれまでの誰よりも好きっていうか……そんな感じだから、頑張って中の下(ちゅうのげ)くらいの掃除と片付けは努力するからっ…絶対に迷惑掛けないように頑張るからっ…」 だから何?何を必死になって出来もしないこと言ってんの? カーッと火照った頭の隅からそんな声が聞こえた時 「和花」 「グュ…ェ…」 キツすぎだって…彼にすっぽりと包まれ内臓が圧迫される。 「……泣くわ…俺………和花が俺のこと好きって叫んでた…嬉しい…」 フーッと息を吐いた藤司は、私を抱きしめたまま続けた。 「和花は必要な時に必要なだけ片付けも掃除も出来てる。必要ないのにすることないだろ?和花の部屋で…例えば……洗面所のシンク以外のところに埃が分厚くあったりしたら出来てないになるけど、そんなこともなかったんじゃないか?チェックするつもりで見てないけど…ヒドイところがあったら目につく…でもそんな感じじゃない。何年も一人暮らし出来てる時点でオッケーだろ。頑張らなくてもいい、頑張ったら一緒に生活出来ないと思う。和花が苦手なら俺がやればいいこと。でも和花の気持ちはしっかり受け取った…ありがとう、和花」
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