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もうお客さんのところに着いたかな…ピッ…デスクから三原先生へ電話をすると
“はい、お疲れ様です…って言ってみたけど、和花?まだ俺、どんなトークも出来るよ”
と軽快に応答があった。こっちは出来ません!
「三原先生、お疲れ様です」
“それも好き”
コノヤロー…そんなどころじゃないって。アカネって木岡アカネってことかな?
「今、三原先生あてにお客様が来所されてい…」
“誰?アポなしだな”
「きおか商店のアカネさんと名乗られたんですけど…」
“帰った?”
「いえ…待つとおっしゃって」
「藤司先生、どこ?私がそっち方面に移動してもいいけど?」
「……聞こえました?」
“聞こえた。電話このままで、何の用か聞いて”
「はい…あの…本日のご用件をお願いします」
私がそう言うと、アカネさんは、自分の髪に耳の後ろから胸元まで指を通しながら
「仕事の相談」
と答えた。
「お仕事の相談は…きおか商店さんの業務というこ…」
「あなたに相談しないわ。私の仕事の相談よ」
ナンダこの人…
“ムカツク奴だな…和花、電話切るぞ。武本に電話して、もうすぐ帰るはずなのを急かせるから、放っておけ。うちは職安じゃねぇ、って追い返すだろ”
「承知しました」
“それも好き。じゃあな”
切れた…この理由の分からない空気の中、武本先生を待つのか…
「武本がもう戻りますので、お話を伺うということで…お待ちください」
「要先生か。藤司先生は?」
「本日の戻りが遅い予定ですので、申し訳ございません」
「ふぅん」
申し訳ございません、から頭を上げると…彼女はスマホでゲームをしていた。ナンダこの人…
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