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「ただいま〜アポなし客がいるって?三原くんから電話もらったけど?」
………大きな声で、ワザとですね…武本センセ…
「はい、こちら…」
「要先生、おかえりなさ〜い」
武本先生もきおか商店さんはご存知だから、任せておけばいいのかな。私はデスクに戻っていいのかと先生の顔を見たら…ゲッ…ワルい顔してません?してますね?
「安いスナックで出迎えられた気分ですね」
ぶっ…いや、堪えた…堪えたけど…“おかえりなさ〜い”が気に食わないのか?安いスナックって…そんなの?どーしよっ…戻る?戻らない?
「アポなし訪問の用件が仕事の相談と聞きました」
「そうそう、ちゃんと藤司先生が言ってくれたんだ」
「きおか商店さんの仕事にあなたは全く無関係。ということは、何の相談デショ?」
ヤバい…そのおちょくった感じの“デショ?”で首を突き出さないでっ。
「ここ、お仕事あるかなーって思って相談に来ましたっ」
おお…こっちは語尾にハートがついていそうで…二人の温度差に目が離せない…デスクに戻って仕事しないと……でも…
「はい、ございません。お帰りください」
…っ……ここで45度の最敬礼…と思ったら舌を出してるよ、タケモトーやめて〜と私は無言でお腹を抱えた。耐えろ…私。
「でもぉ、一人先生が辞めてから、素人のこの人だけでは全然足りないでしょ?」
とアカネさんは、装飾のついたネイルの指で私を指さした。
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