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「のんちゃんも、このあと上に行くの?もう誰か帰る頃だとは思うけど」
「今日は食べたら帰る」
「実家の週か?」
「おっちゃん、よく覚えてるね」
「そーりゃそうだろ。何年見てる?ほとんど毎月帰ってるだろ?」
「うん。新幹線とか飛行機に乗らないといけない距離だったら帰らないけど、そこまで遠くないから…私が定期的に帰る方が、お母さんの突然訪問を食らうよりいいし」
一度、人生最高に散らかったままの部屋にお母さんが来たことがある。呆れていたけど、怒られはしなかった。そしてちょっとだけ片付けて全部は綺麗にすることなく、仕事がキツかったら転職して実家でもいいよと言って帰って行ったんだ。
「そりゃ、顔見て話せば分かることもあるからな」
「俺も明日、一緒に行くんです」
「………先生よ、結婚の申し込みなら……ここにしげちゃんとチョウさんと呼んでくるけど?」
「そうよねぇ、私たちものんちゃんの家族みたいなもんだからねぇ…うふふふフフフ…」
おばちゃんのフフフフ…呼吸ながっ……って、結婚の申し込みではないのよ。
「それはまた改めて」
「あら、改めて…後日でいいの?」
おばちゃんのニヤけた視線が私と藤司を行き来する。
「先生…いや…藤司」
「はい」
「後日があんまり遅いとな…しげちゃんとチョウさんの目の黒いうちに頼むぞ」
ブッ……あぶない…お酒が……
「おっちゃんっ…しげちゃんとチョウさん、まだまだピンピン飲んで、階段上がってるから…って、おっちゃんはそこに含まれてない?」
「まだ若いからな」
はははっ…藤司とおばちゃんと私は声を上げて笑う。確かにおっちゃんはしげちゃんたちより若いけど…可笑しいくらい、きちんと線引きするんだもん…お腹が痛い…まだ笑う私の背中の下の方を撫でながら
「和花と一緒に住むこと…それで明日行くんです。許可されなくても、真面目に付き合ってるってことは伝えておきたいので」
藤司は先に笑い終えてにっこりと言った。
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