リコリスの星

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 あの日は、いつもと変わらない夕焼け空だった。  強いて言えば、少しだけ雲の広がりが大きくて、春の空気が重かった気もする。  そう、こんなふうに、肺の中に鈍色(にびいろ)が充満するような、最後の景色を見ている感覚。
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