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「わ、私は……」
いきなり話を振られて、言葉につまる。
世界が終わるとか、今まで考えたことがなかったから分からない。自分だったら、どうしたいのか。
でも、意外と冷静でいられる気がする。失いたくない人は、家族くらいだし。大切にしている物があるわけでもない。
「普段と、あまり変わらないのかも。好きな本を読んで、家でのんびり過ごすと思う」
「ふーん。なんか、宵野さんっぽい」
暁さんの反応に、他の人たちもうなずいている。
ぽいって、この人たちは私の何を知っているのか。そんな気持ちが押し寄せてくるけど、自分だってさっき同じことを思った。
口に出していたら、逆の立場になっていたかもしれないのか。
ぼんやりと考えていたら、バヒュッと目の前になにかが飛んできた。暁さんのシャーペンだ。
よくペンを回して、指遊びをしているから。
「あ、ごめ……」
取ろうとしたのか、少し強めに腕がぶつかった。その瞬間、私たちは互いに顔を見合う。
ビリリと体中に稲妻が走ったみたいに、脳内にフラッシュバックが起こる。
そうか。私の答えは、間違っていなかったんだーー。
星良と私は、小学生の頃から仲がよかった。性格も見た目も正反対だけど、すこぶる気が合う。
話すきっかけとなったのは、誕生日が同じだったこと。それも、同じ病院で数分違い。
そのおかげか、親同士も比較的交流があって、星良の親が仕事で帰りが遅い時は、きまってうちに滞在していた。
ある日、宿題をしていると、突然風が吹き付けていたずらにノートをめくった。
窓は閉まっていたはずなのに。カーテンがゆらゆらと揺れて、人影が現れたのだ。
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