7人が本棚に入れています
本棚に追加
それから、地球よりはるか上空にある場所で過ごすこととなった。
ーー私は、天の守護神だったの。
地上に神の子が生まれると、十五歳になる日を待ち天界へ迎え入れる。あの死神は、案内人みたいなものだったらしい。
本で読んだことのある天界は、明るく純白なイメージだったけど、実際には常に夜なのか薄暗い印象で、どこか寂しい。
巨大な鏡のような物の前で、世界を監視する役割を与えられている。
「ツキカ様。お身体の方は、変わりないでしょうか?」
侍女のような人が、私のそばへ来て声をかけてくれた。
そこら中に咲いている彼岸花に触れて、私はポツリと口を開く。
「ねえ、星良は? 星良は、どこにいるの。こことは、違う場所にいるんでしょ?」
「……わたくしどもは、お答えいたしかねます」
目が覚めてから、同じことばかり聞いているから、彼女たちも嫌気がさしているだろう。
だけど、それはこっちも同じ。冷静でいられるわけがない。
「こんなところへ、いきなり連れて来ておいて。あなたたちって、悪魔みたいだね」
今頃、星良も似たような状況で困っているんじゃないか。そのことばかりが気になって、眠れない日が続いた。
最初のコメントを投稿しよう!