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「俺と結婚してください」
「ふふふ……いいわよ。その願い、叶えてあげる!」
「ありがとう!!」
俺は有頂天になったが、ふと、真由美の方の願いを叶えていないことに気がついた。
「俺は王子様ではないけれど、名前が白馬琉季だから、苗字だけ白馬の王子様ってことで許してくれないか?」
「うふ。私の魔法はちゃんと効いていたの。あなたは初めから、白馬の王子様だったのよ」
「どういうこと?」
「だってね、琉季。あなたの名前の漢字、よ~く見てみて。漢字の中に『王子』って入っているのよ。だからね、あなたは白馬の王子様だったの」
「あははは……自分でも気づいていなかったけど、言われてみればそうだね」
「漢字だけじゃないよ。いつもデートの時、しっかりエスコートしてくれて、琉季はいつだってステキな王子様よ」
俺の顔は真っ赤になった。
「おいおい、褒め過ぎだよ」
「あら、そうかしら? 私は悪魔よ。だからね、あなたの願いは叶えてあげるけど、その代わり『契約』が必要ね」
「そっか。やっぱり悪魔はただでは願いは叶えてくれないか。で、条件はなんだ?」
「私と結婚したいという琉季の願いは叶えてあげます。その代わり、あなたの魂をいただきます。それが契約」
「魂か……」
「そう、あなたの魂は一生、私に捧げなさい。一生、私を大事にしなさい。それが悪魔との契約」
「はい。喜んで契約させていただきます」
俺は用意していた婚約指輪を取り出すと、真由美の薬指にはめた。
悪魔に魂を捧げ、俺は幸せな人生を手に入れたのだった。
< 了 >
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