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「アンタは誰なの? ひょっとして白馬の王子様? ……って、そんな感じでもなさそうね」
「あの……願いを叶えてほしいんですけど……」
「なんで?」
「あなたは悪魔ですよね?」
私は小さい頃から、悪魔なんだから願いを叶えてくれと、よく言われてきた。
それが本当に苦痛だった。
「なにそれ? つまり私が悪魔だから願いを叶えろと、そう言いたいわけ?」
「……はい、そのつもりですけど」
「……もうねぇ、それ、何度も言われているの。でさ、今回はアンタみたいな知らない人にまでそれを言われるわけ?」
「さっそく、願い事をしていいですか?」
私は腹が立った。
せっかく、白馬に乗った王子様を呼び出そうと儀式をしたのに、鏡にはなんだかよく分からない男が映ったかと思いきや、願い事までしてきた。
これはいったい、どういうこと?
「あのさぁ、私はね、白馬に乗ったステキな王子様と出会いたいの!」
男はなんだかんだ言って願い事をしてきた。
私に願いを叶える力なんてあるわけない。
なので、話だけは聞いてあげた。
この男の名前は、ルキというらしい。
私も、自分の名前が真由美であることを明かした。
結局のところ、白馬の王子様を召喚する魔法の儀式は失敗だったのだ。
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