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「アンタ、誰? なんで私の名前、知ってんの?」
「え? いや、あの……悪魔召喚の儀式を行った者です……」
「へぇ~、私を呼び出す儀式なんてあるんだ」
悪魔は笑い出した。
なんだか、とっつきにくい悪魔だな。
悪魔は言った。
「アンタは誰なの? ひょっとして白馬の王子様? ……って、そんな感じでもなさそうね」
悪魔は、俺の顔をまじまじと見てくる。
なんなんだ、この悪魔は。俺が想像していた悪魔とは、だいぶんイメージが違う。
とはいえ、せっかく召喚に成功したのだから、願いを叶えてもらおう。
俺は言った。
「あの……願いを叶えてほしいんですけど……」
「なんで?」
「あなたは悪魔ですよね?」
すると、悪魔は不機嫌になって言った。
「なにそれ? つまり私が悪魔だから願いを叶えろと、そう言いたいわけ?」
「……はい、そのつもりですけど」
「……もうねぇ、それ、何度も言われているの。でさ、今回はアンタみたいな知らない人からも、それを言われるわけ?」
う~ん、なんだかやりにくい。
今どきの悪魔とは、こういうものなのだろうか。
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