最後に流れ落ちる星

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 望んだとおり、その夜は快晴だった。今まで私の願いを何ひとつ叶えてくれなかった神さまも、最後になって言うことを聞いてくれたのかもしれない。  息をゆっくり整えると、そっと病室を抜けだした。誰もいない廊下を横切る。  スマホのメッセージアプリには、すでに連絡が入っていた。北口の玄関で待ちあわせしているのだ。その場所なら警備員に見つかりにくいと知っていた。それでも油断はできなくて、次第に動悸は早くなる。今にも誰かに見とがめられるような気がして落ちつかない。  入り口付近にたどりつくと、途端に朔の影が見えて私はホッとする。  ずっと探していたひとに会えたような気持ちになる。昼間会ったばかりなのに、ものすごい歓喜がせまってきて、胸がいっぱいになってしまう。 「行こっか」  朔は何気ない仕草で私の手をとった。  行く場所はそんなに遠くない。病院からすぐ近くの小高い丘のある公園。  静かな夜道を歩いていくと、ぬるい空気が鼻孔をくすぐる。いつもなら怖いと思う闇も、朔となら全然平気だった。夜は私たちを包んで、まったく知らない場所へ連れていくかのようだった。 「大丈夫?」  隣で朔の気づかう声。  久しぶりに歩いたせいかすぐに息があがって、そんな自分が不甲斐なくなる。  大丈夫、と小声で応える。ここで倒れたらおしまいだ。私はこの夜を自分で台なしにしてしまいたくなかった。朔が歩調をゆるめてくれる。握った手のひらから熱い体温が伝わって、思わずギュッと握り返す。それだけで心が落ちついて、楽に呼吸できる気がした。朔のエネルギーを分けてもらえたような気持ちに。
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