最後に流れ落ちる星

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「何か願いごとする?」  朔が私にそう訊いて、私はあのとき言えなかった願いごとを口にした。 「朔がこの先もずっと、元気で長生きしますように」  直後、ハッと朔が息を呑む気配がした。  そう、あの瞬間、私もまったく同じことをあの流星に祈っていた。でも、あのとき口にだすことができなかったのは、その言葉が残酷な呪いに変わってしまう気がしたから。  でも、今の私はそう願わずにはいられない。  この星空がずっと、朔の未来をどこまでも照らす光になればいい。どんな困難が降りかかっても、いつも朔を守ってくれる道しるべになるように。 「勝手だなぁ」  なんで私がここにいるのかもう分かっているように、泣き笑いの表情で朔はそうつぶやいた。そう。私は自分勝手で、本当にとてもわがままだ。  一番の望みは、朔に幸せになってもらうこと。そうしなければ、私の短い一生が意味を成さなくなるくらい、それくらい重要だったから。どうしてもそれだけ伝えたくて、私はあの日と同じ夜を夢で再現させたのだ。  きっと目が覚めたら、朔はまた泣くだろう。私が手の届かない場所へひとり旅立ったと知って。でも、それでも記憶のすべてが薄れてしまうわけじゃない。星がいくつも降り落ちて、私の体も消えかかる。握っていた手のひらを、つかむこともかなわない。  ――ありがとう。私は本当に、あなたのことが好きだった。  私はもう一度目を閉じる。  次第に遠くなる景色のなか、私はふたたび強い光のなかに呑みこまれた。
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