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「て、ってことでわたしはもう行くわ!修行中の無駄話は厳禁だから!」
熱を帯びた頬を両手で覆って隠したキュアヒルは、茜色の空へと身を逃す。
「じゃ、じゃあまたねそこのあなた!怪我にはくれぐれも、気をつけて!」
どこか余裕のなくなった彼女を航は不思議に感じたが、仕方なしに手を振った。
「ばいばい、キュアヒル。また」
そう言ったけれど、『また』はもうないかもしれないと思った。
会いたいがために怪我を負うことは、修行中の彼女に迷惑がかかるから、決してしてはならないと。
名残惜しいのは、互いに同じ。
村ごと全てを包み込んでしまいそうな夕焼けが、哀愁漂わせながら沈んでいく。
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