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「あれ?兄ちゃん俺、どうしちゃったの?」
頭を打った衝撃なのか何なのかはわからぬが、亘は己の身に起きた出来事を覚えていなかった。
「なんで、泣いてるの……?」
だから今の彼には、理解ができない。
一体何故、兄が号泣しているかなんて。
「キュ、キュアヒルっ…」
殺してしまった。弟の身代わりに妖精のキュアヒルを。
「ご、ごめん、キュア…」
亘が助かり、もちろん嬉しい航だったが、手放しで喜べないこともまた、彼にとっては事実だった。
茜色の空に、君はもういない。
亘をぎゅっと抱きしめた航。彼は空の色が変わるまで、彼女を思い泣き続けた。
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