はじまりの日。

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はじまりの日。

「髪の毛よし、エプロンよしっ...と。」 出勤前、雪乃(ゆきの)は身支度を整えていた。 鏡の前に立ち、ワイシャツのシワをぴんと伸ばす。 そして最後に、口角を上げてにこりと微笑んだ。 「よしっ、行こう。」 そう言って雪乃は、足早にロッカールームを後にした。 ──内側からドアを押し開ける。 と同時に、チリリンっというベルの音が鳴った。 今となっては聞き慣れた音だ。 木製の枠で囲われたブラックボードを両手で持ち上げ外に出て、ドアの横に置いた。 雪乃の腰の高さ程あるそれには、何やら文字が書かれているようで...。 【Cafe Amanda 10時 OPEN】 ” カフェ アマンダ ” そう、ここは雪乃が働く、とある街中のカフェ。
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