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「本当に君は酷い」 「すみません」 「これから本気を出して攻め落とすと決めた途端に発熱だなんて」 「たぶんこれ、知恵熱です」 「そうか。なら、宣戦布告としていただいておこう」  いきなり抱きしめられ、慌てて両腕を突っ張り、距離を取ります。 「ダメです。万が一変な病気だったらどうするんですか!」 「ああ、良かった。僕が嫌いなわけじゃないんだね」 「は!」  きききききききすされてしまった!!! 「ふふふ、可愛いね。壊れたぜんまい仕掛けのお人形みたいだよ」 「って、なんでさらに、ききききききききすをするんですか!」 「風邪はひとにうつすと早く治るって言うじゃないか。タチの悪いものなら、早々にもらっておかないとね」  今まさに、タチの悪いものに絡まれているんですが! 「もう逃がしてあげないから。諦めて」 「ジェロームさま」 「そんな顔をされたら我慢できなくなる」 「ひいっ。あの、兄妹でこんなことは良くないと思います!」 「ああ、大丈夫。君と僕が将来結婚できるように、父と君との養子縁組はまだしていないそうだから。必要なら、君を分家の養女という形にできるから、身分差とか存在しないからね?」 「ひゃい」 「それから、人間相手の使い魔契約は婚約の宣誓契約魔法の亜種だから逃げられるとは思わないように。奴隷契約ではないけれど、かなり反動はキツいよ?」  ふたりの事情がお母さまとお義父さまにも筒抜けだったことを知り、恥ずかしさのあまり悶絶。この後私は再び高熱を出し、さらにベッド生活は長引くことになったのでした。
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