1 添い寝するだけの不思議な関係

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 しかし桐にカノジョはいない。一緒に住んでいるわたしが証言するのだから、間違いない。 「……勃起不全とかか? それともロリコンか?」  本人には絶対聞けないけど。  こりゃ一度、兼六園の裏におる占い師にでも相談せんとあかんかもしれん。  立ち退きのお知らせを、わたしは机にたたきつけた。  これ、どうやって伝えればいいのかな。わたしから言ったら、別れたがってるみたいで嫌やなあ。  わたしは彼のことが好きだ。  出会ったときと比べて。  けれど、彼から「好きだ」と言われたら、それを受け入れる資格がないと感じている。  いまのところ、告白される気配はないし、わたしから恋愛的な告白をする予定もない。    アラサーの夏も、わたしの桐に対する思いは曖昧な恋心のままでいい。と思っていたけれど、そういう訳にいかなさそうだ。  全部、こいつのせい。  わたしは立ち退きのお知らせをもう一度にらんだ。  で、ガス代の領収書と一緒に隠しておくことにした。  ピピピピピ。 「わっ……」  炊飯器のタイマーに、思わず飛び上がった。心臓がバクバクしている。そうか、もうこんな時間か。
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