2 県立高校、わたしの仕事

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 あの子たち、病院行くっていっても、耳鼻科か整形外科くらいだよ、きっと。内科なんて絶対行く用事なさそう。ああ、うらやましい。こっちは年中体調不良だわ。 校舎の端にある印刷室へ行き、補講のプリントを刷るのが今日のミッション。  だが、ツイてないことに印刷機が故障していてた。朝イチの登校は無駄足だ。  紙がよくわからない所で詰まっている。無理にプリントを引き出せば、真っ黒なトナーが染みた紙切れがびりびりになって出てきた。 『すみませんねえ、台風できのうおとといと周り切れてないところもいっぱいあって』  印刷機に貼ってあったステッカーに電話をかけると、うんざりした感じの担当者が出た。 『お宅ばっかりじゃないねんて』  男は電話の向こうで嫌味っぽく言った。 「あ、じゃあ。いつごろ……?」 『んー、ほんなら、午後。午後には参ります』 「はい、お待ちしています……」  午後とはだいぶざっくりした時間指定だ。  窓から空を見上げる。真っ青で、今すぐ帰りたくなった。  ぶーん。と、扇風機が首を振っている。  職員室の机で、私は冷たい棒茶をすすりながら時間を持て余していた。
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