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あの子たち、病院行くっていっても、耳鼻科か整形外科くらいだよ、きっと。内科なんて絶対行く用事なさそう。ああ、うらやましい。こっちは年中体調不良だわ。
校舎の端にある印刷室へ行き、補講のプリントを刷るのが今日のミッション。
だが、ツイてないことに印刷機が故障していてた。朝イチの登校は無駄足だ。
紙がよくわからない所で詰まっている。無理にプリントを引き出せば、真っ黒なトナーが染みた紙切れがびりびりになって出てきた。
『すみませんねえ、台風できのうおとといと周り切れてないところもいっぱいあって』
印刷機に貼ってあったステッカーに電話をかけると、うんざりした感じの担当者が出た。
『お宅ばっかりじゃないねんて』
男は電話の向こうで嫌味っぽく言った。
「あ、じゃあ。いつごろ……?」
『んー、ほんなら、午後。午後には参ります』
「はい、お待ちしています……」
午後とはだいぶざっくりした時間指定だ。
窓から空を見上げる。真っ青で、今すぐ帰りたくなった。
ぶーん。と、扇風機が首を振っている。
職員室の机で、私は冷たい棒茶をすすりながら時間を持て余していた。
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