2 県立高校、わたしの仕事

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 壁にかかるホワイトボードを意味もなく見上げた。カレンダータイプの、黒い枠線が引かれているやつだ。  本日は夏休み5日目。明日から夏期講座。野球部の地方予選が昨日。結果がどうだったかは知らない。まあ、なんも連絡ないあたり、残念賞だったんやろな。  一昨日に赤い丸がついてる。  わたしは印に眉をひそめた。  ――北先生の出産予定日、やっけ?  そういうことを、不特定多数が見れる個所に印つけちゃう性根がキモすぎる。ありゃあ教頭の仕業だろう。ウチの教頭は、北先生みたいなお嬢様タイプに弱い。  それでもって、わたしみたいな色気のない人間に全く興味がない。 口がいやな感じに乾いて、わたしは苦し紛れに立ち上がった。冷水器に行こっかな。  この棒茶、ちゃんとお茶屋さんで買ってるやつだし。むしゃくしゃしたときに飲むようじゃないんだから。 「こんちわー」「ちわっす」「ちゃー」 「……こんにちは」  冷水器を求めてうろついていると、運動部の一団とすれ違った。真っ黒に日焼けしている。 「浦セン無視かよ」 「さっきのひと?」 「そーそー、なんやっけ、地理やっけ」 「地学ちゃう?」 「ほーや」
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