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壁にかかるホワイトボードを意味もなく見上げた。カレンダータイプの、黒い枠線が引かれているやつだ。
本日は夏休み5日目。明日から夏期講座。野球部の地方予選が昨日。結果がどうだったかは知らない。まあ、なんも連絡ないあたり、残念賞だったんやろな。
一昨日に赤い丸がついてる。
わたしは印に眉をひそめた。
――北先生の出産予定日、やっけ?
そういうことを、不特定多数が見れる個所に印つけちゃう性根がキモすぎる。ありゃあ教頭の仕業だろう。ウチの教頭は、北先生みたいなお嬢様タイプに弱い。
それでもって、わたしみたいな色気のない人間に全く興味がない。
口がいやな感じに乾いて、わたしは苦し紛れに立ち上がった。冷水器に行こっかな。
この棒茶、ちゃんとお茶屋さんで買ってるやつだし。むしゃくしゃしたときに飲むようじゃないんだから。
「こんちわー」「ちわっす」「ちゃー」
「……こんにちは」
冷水器を求めてうろついていると、運動部の一団とすれ違った。真っ黒に日焼けしている。
「浦セン無視かよ」
「さっきのひと?」
「そーそー、なんやっけ、地理やっけ」
「地学ちゃう?」
「ほーや」
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