2 県立高校、わたしの仕事

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 五択はまだいいけれど正序問題がややこしくて、何度も誤りを丸にしそうになった。 「このwhetherって、天気のウェザーと同じつづりですか?」  ふと湧いた疑問を口にする。  浅田は赤ペンのキャップをしめ、プリントを指でたどった。 「どこ」 「問三です」 「あ、ここ? これは名詞節のwhether。~かどうかはV、分からないになる。or notに続く。次の問四は同じwhetherだけどこっちは、~だとうとなかろうと、だから注意して丸付けして」 「あ、はい」  わたしは浅田の耳の良さにおどろいた。  あれだけ小さいとバカにされる声を一語一句取りこぼさずに聞き取れている。  今の返事は、自分でもちょっと声が小さすぎたかな……って思っていたのに。  浅田はラグなしに反応を返してきた。 「天気が晴れだろうとなかろうと、で天気のウェザーがあるから、ほらよく見て」 「え? w、e……ウェザー」 「つづり違いますからね」 「……すみません」  学校を出るころには、ぽつりぽつりと雨が降り始めていた。  空は真っ黒な雲に覆われている。 自家用車のワイパーをつけ、白く霞んだ町を走る。
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