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ウェザー、天気。この町ほど天気予報が役に立たないところはない。
今日は台風一過の快晴となるでしょう。
――雨は降ります。
今日は一日中雨でしょう。
――ゲリラ豪雨に注意です。
今日は一日中すっきりしない曇り空でしょう。
――雨も降ります。
今日の天気は晴れでしょう!
――遠足には傘をお忘れなきよう。
こんなふうに、言葉尻に全部注意書きがつく。
大通りから一本曲り、くねった坂を登れば駐車場まであと少しだ。雨脚が強くなってきた。
こんな雨の中、前方に傘もささずに歩く背の高い男の姿が見えた。
大丈夫だろうか。
同じマンションの住人なら、徒歩だとあと二十分近く歩くことになってしまう。
わたしはスピードを落として車を寄せた。
「大丈夫ですか――、って。桐!」
「うっす」
スーパーの袋を両手に持った彼が笑った。
「傘はどうしたの」
「忘れてきた」
「あほ。早く乗りまっし」
「よかったよかった。浦がここを通らなかったらパンツまで濡れるとこだった」
シャツの裾を絞りながら、助手席に乗り込む。
全身びしょ濡れだ。
気象予報士、傘持てといって、傘持たず。
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