2 県立高校、わたしの仕事

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パーッ、とクラクションが鳴らされた。 「えっ、あっ、すみません!」  青信号に変わっていた。誰に言うでもなく謝罪し、急発進した。  景色が速度を上げて、窓を流れていく。  桐はこれ以上浦を責めようとはしなかった。 車内の沈黙が恐ろしい。  どうしようどうしようと内心でパニックになりながら、さらにアクセルを踏んだ。  少しの坂道でぶいーんと大きな音を立てる。  この車も、そろそろ替え時なのかもしれない。  駐車場に車を停めたときには、疲労困憊でへとへとだった。ふう、と大きなため息がこぼれる。  災難だった。印刷機の故障も、採点の手伝いも、大したことじゃないけれど積み重なればそれなりのダメージになる。明日からの補講も思いやられた。 「浦」 「……なに?」  狭い車内で、桐が腕を掴んだ。 「なんでもねえよ」  ぐいっと引き寄せられ、頬に唇が触れた。 「んっ」  喉の奥から、生々しい声が出る。  わたしはバランスを崩し、助手席側に転げた。 「えっ、あっ」  なんで、と洩らすわたしに桐はちょっと笑い、 「いちいち理由訊くなよ」  肩をぽんぽんと叩いた。
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