1 添い寝するだけの不思議な関係

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『現在日本を縦断している台風は、強い勢力を保ったまま北陸地方に接近しています。暴風、浸水、河川の増水・氾濫には十分警戒してください――』  画面に日本列島が映し出される。  次いで表示された台風進路図は、金沢市に直撃するとされる進路が引かれていた。  予報円はかなり大きい。 今回の台風は上陸してからかなり時間が経ってるし厄介かもな――と嘆いていたのは同居人の彼――桐亮太だった。昨晩のことだ。 『今の状況を中継でお伝えします。金沢駅前の桐リポーター』 「えっ」  画面に目が吸い寄せられる。わたしは思わず身を起こした。 『はい、こちら金沢駅もてなしドーム前です』  青いカッパに白のヘルメットを被った桐が画面に映った。わ、わ。本当だ。聞き間違いじゃなかった。  桐がリポーターとして、駅前に立っている。  わたしは顔にじわじわと血液が集まるのを感じた。鼓動が早くなる。 「すごい」  いつもより、三倍増しで凛々しく見えた。  ガラスの屋根のおかげで雨は避けれているようで、音声だけ、強い風音が入り込んでいる。
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