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「ほんと、なんで俺はこうなんだろうな」
俺にとって女は解せない。
どうして交際秒読みの男が居るのに一人暮らしの家に”時間があるなら家まで漫画を取りに来て”と独身男性を招いてしまうのか。(※多分、俺を恋愛対象にならない安全圏野郎だと思っている)
男も解せない。
どうして幼少からの友人同士だと散々言っているのに、相手が男と見るや否や流血沙汰になるまでタコ殴りにするのか。(※多分、俺を間男だと思いがちだし懲らしめても良いと思ってる)
「可哀想な大地くん、配達に失敗したピザみたいな顔で明日も過ごしていかないとね。確か、こないだの当て馬案件は髪の毛まで燃やされたんだっけ?」
「キャンプファイヤーの時にたまたま会った女性と世間話してたら浮気相手と間違えられた奴な。燃える火の中にどつかれて。あのチリチリパーマ、切り揃えたばっかりなのに」
俺に対しては容赦なく常軌を逸した行動をしてくるのは、いわゆる恋愛ターンに入った男女達。口論に巻き込み、泣き喚き、時には暴力にだって訴えてくる。
(まぁ、ほら。生き物にとって求愛は本能だし?)
だが、このような惨劇は俺にとっては慣れっこだ。俺には友人が多かった。いや、今でも多いが、このようなカップル未満の痴話喧嘩に巻き込まれること100数回。
結果的に俺は恋愛の起爆剤として2人をくっつける存在として作用してしまっているらしい。意図せず、偶然にも。恋のキューピットと呼んでくれても良いだろう。
そして俺が関わったカップルはその後、幸いにも別れることはない。本当に結ばれる運命のふたりばかりだったという訳だ。お騒がせな奴らめ!
「運命のふたりになる異性共は他人を巻き込んで傷つけずには居られないんだ。そして、その尊い犠牲に選ばれやすい存在ーーすなわち、当て馬の俺!」
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