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私の名は中村。中肉中背の中年男性。それ以外の事は思い出せない。
そのせいなのかは解からないが、私は四六時中、時を選ばず交差点に佇み、通り過ぎる人を見続け早三年が経とうとしていた。
正直な所、私を通り過ぎる人を見続けるのもかなり飽きて来てうんざりしていた。最初こそ非現実的な光景にワクワクしたものだが慣れてしまえば、である。
そんな事もあり、そろそろ潮時かと思い決心を決める。
そうだ。天国に行こうと。
思ってみたはよいが、この時、私は壁にぶち当たる。よくテレビや漫画ではほわほわと宙に浮き、天へ上がっていくのだが、それが無いのだ。
エンジェルさんも来ないし、パトラッシュもいない。
ーー何故に昇天しない。
私は漫画太郎さんの絵のような劇画調の顔をして驚愕していた。
困り果てた私は同じく歩道橋に立ち尽くす同士に訊ねる。天国行くにはどうしたら良いのかと……。
「あのー、天国に行くにはどうしたらいいですかね」
「んあっ、飛行機に乗れば良いんじゃね。どっかに飛行機あるらしいぞ」
同士が答えるにはどこかに天国行きの飛行機があるらしいとの事。
私はその話を頼りに天国行きの飛行機を探していると、それは意外にも簡単に見つかり搭乗の手続きを始めたのたが、私は乗ることが出来なかった。
「あーあっ、お客さんやっちまったなぁーーー。こりゃ、のれねっ。善行ポイント足んねーんだわ」
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