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「それでいい。俺を止めたかったら、言葉じゃなく実力で止めてみろ」
返事はしない。その代わりに何十もの氷の刃が飛んだ。
友鳴が撃つのは1発のみ。円型魔術式を潜ったそれは威力をそのままに数を増やし、氷の群れを地に落とす。
すかさず友鳴は引金を引く。2枚の円型魔術式を経由し、円柱状のレーザーがより加速する。
着弾まで瞬きすら許さないそれを、矢浪は蒼い氷を纏った左手で弾いた。
当たる確信があったのか、友鳴は目を一瞬だけ丸くし、そして口元だけで笑った。
「集中してるな」
矢浪は何も言わず、簡易魔術式が描かれた紙を取り出した。左手に握られた日本刀の柄から白金の刃が伸びる。
(抜いたな、氷鋼)
友鳴の銃、矢浪の刀。それぞれ得意とした武器がその手に収まる。
(接近戦に持ち込みたいんだろうな。なら、近寄らせなければいいだけだ)
レーザーからの分裂。光の雨が降り注ぐのを蒼い氷の壁が阻む。どんな変化にも対応出来るよう、氷壁は広範囲に渡っていた。
(あの蒼い氷はやたらと硬い。それなりに魔力を使うはずだ。あの規模で連発は難しいはずだが……)
次の手に備える友鳴の前で一畳ほどの氷の壁が床から生えた。それも1つや2つではなく、2人の間を埋めるようにランダムにそびえ立つ。
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