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「ま、いっかぁ。俺には運命の杏奈がいるし」と笑ってぎゅぅっと抱き着いてきたのだ。背丈は私より10㎝ほど高い陸斗に包まれるのは、嫌いじゃない。背伸びしたら目線が合うこの身長差が、嫌いじゃない。キスをすると顎の先が陸斗の髭でチクっと痛いけど、気にするほどじゃないから嫌いじゃない。いつも抱きしめるついでにシャツをまくって腰辺りの素肌を撫でてくるけど、見方を変えたら絶対セクハラだし気分じゃない時やられたら殴りたくなるけど、私は気にしないし気持ちいいから嫌いじゃない。
だから私は、それほど好きじゃなくても、陸斗を愛しいと思うから。
出来れば末永く一緒に居たいと思っているの。
「今日、する?」
「仕事が残業せずにすんだらね」
欲に忠実で真っ直ぐすぎるこの会話も、私は嫌いじゃない。
fin
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