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けれどそれでもあきらめきれないようで「でもだって」「ホテルには入ったし」「ベッドで寝たし」と必死に言い訳を重ねている。それに対しても私はため息をついた。
「どうせカラオケしてご飯食べて寝ただけでしょ」
「……っ!」
言葉につまり赤面する百合。
場所がラブホテルというだけであって、やっていることが学生のデート並なのはいつものことだ。陸斗のことを知った私はラブホテルに別の女の子と一緒に入ったとしてもコトが起こらないとわかっている。というか、むしろコトが起こったら、相手の女の子はこんなに陸斗に必死にならない理由がある。
というわけで、私は今日の恨みをこめて百合に満面の笑顔で言った。
「だって、陸斗の陸斗って盛り上がっていた気持ちが急速に冷えるぐらい小さすぎるもの」
***
「ひどい……別に全部言わなくてもいいじゃん……」
しょぼくれている陸斗の頭を撫でながら、私はちょっと言い過ぎかなぁと思いつつも全く反省はしなかった。
まぁ、百合がポカンと口を開けて「え、小さ……え?」と繰り返して失望の顔で陸斗を見、麻由美さんが「小さい!!!アッハッハッハ!」と大爆笑し陸斗を指さしているという状況は陸斗にとっては地獄と等しいものだっただろうが、仕方がない。私は実際に被害を被ったのだから、お互い様だ。
「麻由美さん、笑いながら会議室から出ていったから絶対皆に言うじゃん……あの人無駄に声がでかいんだから……」
「まぁそうだろうね」
私が一切の否定をせず答えると、陸斗はさらに項垂れた。
「まぁまぁ。私は、そんな陸斗が好きなんだから」
陸斗の陸斗は、本当に物凄く小さい。
手でやろうとすると取れるかもしれないと思うほどで、触るのもやめた方がいいかと悩んでしまうほど。
だけど、私はその大きさが好き。
一方の私は、大きいものだと痛くて辛いから。
だから、全然痛くない陸斗の大きさが丁度いいのだ。
ある意味、身体の相性はバッチリと言えた。
こういう相性も、ある種の運命だと思う。
私がそう思っていると、陸斗も同じことを思ったのだろう。
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