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「ちかさん……ちかさんっ」
「うん?」
「まえ……、さわって……っ」
「触ってほしいの?」
「うん。……うんっ」
「文幸くん、かわいい。俺もそろそろ限界」
周は大きな手のひらで包んで優しく扱いてくれた。文幸は浅ましい喘ぎ声を止められない。もっと強くしてくれてもいいのに、とすら思う。周は先に滲んだ露を指でぬるぬると広げながら、徐々にスピードを上げていく。
「ふふっ、文幸くん、おっきくなった。達っていいよ――」
「……っ、もうっ、いく……っ」
「俺も」
文幸の視界が白む。零したものを腹の上で受けとめた。それは脈打つように何度も零れてくる。収まらない文幸の興奮を、周は巧みに操ってくれた。その手練手管におぼれてぼうっとするうちに、今度は自分の奥がぎゅうっと締まってくるのがわかる。文幸が締めるのか、周が大きくなったのか。これまでにない圧迫を感じて目の前がチラついた。
「――あっ、あ……っ」
「……俺も、達く」
周は大きく身体をしならせて文幸の中で達った。息を詰めて抱きしめてくる。それは、文幸にしがみついていないとおかしくなってしまいそうだ、とでもいうようなしぐさだった。つぶされそうな勢いで抱きしめられて、文幸は周が愛おしくてしかたがない。
そうですよね、射精の瞬間ってそうなっちゃいますよね。俺も同じです。周さん、大好き――。
文幸と周はふたりで身体をこわばらせ、乱れた呼吸のまましばらくじっとしていた。そのうち周がそろっと文幸の肩口に顔をうずめてくる。それから長い息を吐いて脱力した。
「はぁ……気持ちよかったぁ」
周がそんな素直な感想をもらすので、文幸も笑ってしまう。
「ふふ、気持ちよかった、です、ね」
「文幸くんの後ろのはじめて、俺がもらっちゃった。……痛くなかった?」
「少しだけ……でも平気。俺もすごく気持ちよかった、です」
「……ありがとね」
周は満足そうに文幸の首にすりすりと頭をすりよせてくる。文幸も満ち足りて彼を抱きしめて――ハッと我に返ってあわてた。
「ご、ごめんなさい。俺、いっぱい出しちゃって……周さんまでべとべとにしちゃった」
「え?」
「うわあ、シーツまで汚しちゃった。ごめんなさい」
文幸と周の身体は、文幸が腹に零したものでさんざんなありさまになっていた。「ティ、ティッシュ、ティッシュどこですか」と慌てて起き上がろうとする文幸を、周は笑って押しとどめる。
(つづく)
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