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「大丈夫だよ。シーツは洗えばいいし、ぜんぜん汚くない。汚したなんて言わないで」
「……」
「文幸くん」
「……は、はい」
「俺、文幸くんのこと、ますます大好きになっちゃった」
真面目な顔で言われて、文幸は赤面する。
それでもじわりと幸せな気持ちがこみあげてきた。
「……俺もです」
「これから、よろしくね」
「はい」
周は優しく笑ってキスをしてくれる。それから手を伸ばしてティッシュの箱を引き寄せ、文幸の身体を拭いてくれた。後始末をしながら、ふと悪戯っぽい顔をする。
「次は、文幸くんが俺に入れる?」
「えっ」
「だってこんなにりっぱなもの、持ってるのに」
「……」
「これ、俺もほしいなあ」
「あの、えっと、……はい、これで……よかったら」
「あはは、ほんとにかわいいね、文幸くんは」
興奮が去ってすっかり軟化した持ちものに、素早くキスされて慌てた。周は文幸の横にごろりと寝転んでくる。ふたりでしばらくぼんやりした。
「……そろそろ戻ろうか、文幸くん」
「そうですね」
「もっとイチャイチャしたいなあ。いつか子どもたちを実家に泊まりがけであずかってもらってさ、ゆっくり一晩じゅうセックスしたいね」
「……周さん、言い方」
「ふふっ、ダメ?」
「ダメじゃないです」
「シャワー、浴びよっか」
「はい」
文幸と周は手早く身支度を整えて「スナック・マリ」に戻った――いかにも「PTAの片づけに手間取り、とても大変だった」という顔をして。それぞれ息子たちに「おかえりとうちゃん!」「おかえりパパ!」とかわいく迎えられて、瞬時に父親の顔に戻る。そろそろ夜も更けてきた。まだネット動画を見るのだとゴネる彼らを説得して、店を出た。
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