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文幸は電話を切ったあと、言葉にならない胸の高鳴りをどうにか収める。それからお泊まり会の話を航太に伝えた。航太は目を輝かせ、小躍りして喜んだ。文幸も一緒になって小躍りしたい気分だ。
「じゃあ航太、ピアノのレッスン、がんばろうな」
「もうかんぺきだから大丈夫だよ!」
「完璧かもしれないけど、毎日弾くことが大事だって、先生もおっしゃってただろ」
「そうだっけ? わかった!」
航太は張り切ってリビングに置いた電子ピアノに向かう。去年の発表会で耳にして、航太自身が「来年はこれを弾きたい!」と目標にしていた曲だ。
当初はこんなに難しい曲を弾けるようになるとは思っていなかった。しかし本人がやる気だから驚くほど上達が早い。
文幸は綺麗なメロディーに耳を傾けながら夢想する。
はやく発表会がこないかなあ。
悠くんと周さんに聴いてほしい。何よりふたりに会いたい。
周さんに会いたい。
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