庭師とお嬢様

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 きっとお金はないだろう。  今までみたいな贅沢はさせてあげられない、けれど同じ想いを重ねて互いだけを求めて暮らせれば……   “そんなことが許されるのか?”  想像しただけで甘く、魅惑的な生活に心が震える。  何よりもそんな生活をお嬢様も望んでくれているのなら。 「返事はすぐには要りません。三日後の晩、ここで待っていますから」  そんな言葉を残し、俺の背中からお嬢様の温もりが去る。  彼女の熱で少し汗ばんだ俺の体が一気に冷えるが、ドキドキと高鳴る心臓が苦しく寒さなんて何一つ感じなくて。 「俺が、お嬢様と……」  ごくり、と思わず唾を呑み込んだ。  翌日、お嬢様は庭園には来なかった。    以前は毎日少しでも覗きに来ていたので少し寂しく感じたが、その代わり遠くから見つめるお嬢様には気付いていたので悲しくはなくて。 “考える時間をくれているんだろうか”  そんな彼女の気遣いが嬉しく、けれど俺を見つめる視線が隠せていないところが堪らない。  ――考えるまでもなく、イエス。  
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