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茶色の、リス。つぶらな瞳がこっちを見ている。両手にはどんぐり。「いかにも」なリスがそこにいた。
じゅわ、と嫌な汗が出てくる。糸でできたリスの目が、私を責めているようにも見えたのだ。「間違うな」確かに聞こえた。
ああ、どうすれば正解なんだろう。
でも、じっくり考えている暇はない。
「わあ、可愛い! パパありがとう!」
鼻が抜けたような、そんな上ずった声を出して、パパを見上げる。すると、満面の笑み。
「よかったわね、ハルカ」
パパの大きな手が私の頭を撫でる。ママの優しい笑顔が見える。
ああ、これが正解だった。
よかった。
リスなんか好きじゃない。
けれど、この時間は好きだった。皆が笑っているこの時間が。
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