3/6
前へ
/27ページ
次へ
 机に突っ伏して寝ている。  ああ、安心。  ウタちゃんは、大体一人。私以外の友達がいないみたい。それがまた、良い。  私を囲む人の群れは、放課後になるまで群れ続ける。ご飯を食べ終わったちょっと多めの休み時間が一番の苦痛だ。ありとあらゆるクラスの人が、私の顔を見に来るの。 「木ノ崎さんってどの子?」 「あの子!」 「あ~美少女だわ」 「ハルちゃーん、こっち向いて!」  そんな声も、もはや慣れっこだ。ノイズと一緒。でも、私は音のする方ににっこり笑うだけでいいのだ。  その人が私に何を求めているのか。  その人達が私から何を受け取りたいのか。  全部わかるのだ。もう、わかるのだ。  私と話がしたいんじゃない。私の顔が見たいのだ。じゃあ、言葉なんて必要ないよね。そう考えているとはつゆ知らず、みんなは私からの「笑顔」を、「可愛い」を消費する。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加