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 授業の時間だけが唯一の、一人の時間。そして、放課後は私だけの時間。  そう。私と、ウタちゃんだけの。 「ウタちゃん」  彼女には、私がどう見えているんだろう?  私はウタちゃんが大好き。正反対の容姿と、家庭事情。全部が違うから、ぴったりとはまり込む。私はそう思っている。  ウタちゃんも、毎度毎度私が声を掛けるものだから、もう当たり前みたいな感じで、席に座って待っていてくれていた。  みんなが身支度して、さっさと教室から飛び出すのが、まるで異常、みたいにも見えて。 「なぁに」  いつもの感じで。  昔と変わらないむすっとした表情に、私の引き攣っていた表情筋が緩んでいく。無理やり引き上げた頬が、ようやくリラックスする。  冬の教室は、日が傾くのが早くって、もう既にオレンジ色だ。  逆光の中、微笑むウタちゃんは、とっても「可愛い」。  誰かに向ける空っぽの笑顔じゃない。自然と心の底からわき上がって来る笑顔だった。 「ウタちゃん、一緒に帰ろう」 「うん」
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