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 私の誘いを断ったウタちゃんを見たことがない。ウタちゃんは私の話を聞いてくれる。  私が「行こう」と言うと、ウタちゃんは立ち上がる。もう帰りの支度はすましていた。  二人並んで歩く。いつもの街並み、変わらない通学路。学校が小学、中学と移動しても、帰り道はほとんど同じ。背が、だいぶ伸びだ。ウタちゃんはひょろりと細長くなって、私の肩にウタちゃんの腕がぶつかってしまうのだ。 「あのね、今日来た4組のね……」 「うんうん」 「あ、そういえば昨日パパが……」 「うんうん」 「話は戻るけど、クラスメイトのあの人が……」 「うんうん」  へたくそな私の話でも、ウタちゃんはなんでも聞いてくれる。  私、話すのが苦手なの。  誰も聞いてくれないから。  
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