わたし

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わたし

ウタちゃんは、どうしようもなくかわいそうな子だった。  私に劣等感を抱いているのは、知っていた。  だって、みんなの「可愛い」は、私だもん。  ウタちゃんはきっと、それ以外の部分でも私との差を感じているのだろうけれど。  例えば、パパとママ。  ウタちゃんにパパはいない。  例えば、友達。  ウタちゃんの友達は、私だけ。  例えば、先生。  ウタちゃんは、いつも先生に睨まれている。  例えば、恋人。  最近、ウタちゃんと仲良くしていた人に告白された。  ああ、全部「可愛い」んだ。  
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