3.休日の甘い苺ジャム

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柳川さんの放った言葉の意味が理解できず、頭の中で一字一句ゆっくり反復した。 理解が次第に追いつくと、とたんに頭に血が上る。 「鯉を病院に連れて行っただけでお給料を上げてくださるとは、とても優しいお方ですね」 暗く陰る銀色の瞳に、負けじと視線を合わせた。 「そんなだとは大変驚きました。でもはいりません。その代わり明日、柳川さんの許可なく病院に連れて行かせてもらいますね。もちろん家政婦の基本業務はきっちりやった上で、です」 眉を吊り上げながら、にっこりと笑っている私。箸を持つ手が怒りで震えるのを、鎮めるのが大変だった。 元々悪印象だった柳川さん。最初自分が抱いた印象は、決して間違いなんかじゃなかった。ご飯を美味しくいただくために、前を見ず料理だけを見て黙々と食べた。 「ご馳走様でした」 食終わりの挨拶も、顔を見ないように目を閉じながら言う。 そう、私は腹立たしさで、全然冷静じゃなかったのだ。 ー・・・ガシャーン テーブルの食器を片していた時、一点モノの笠間焼の皿を二枚床に落とした。 “家政婦の基本業務はきっちりやる” 先程自分が放った言葉を、数十分後に反故にする。 (さすがに、どうしようもないくらい酷い)
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