1.不評な男

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スナックみさきでの勤務が終わり、家に着いたのは深夜二時半。シャワーを浴び、ワックスで固めた髪を洗い流した。そしてそのままベッドにダイブ。電気のスイッチが切られたように眠りに落ちた。 大声で鳴いて十時を知らせる、ピンクのブタの目覚まし時計を叩く。朝といっていいのか、昼といっていいか分からない時間帯。 どんなに寝るのが遅くても、最低でも十時には起きるようにしている。スナック勤務でも体のリズムをなるべく崩さないように心がけていた。 (今日は久々、通帳記帳してこよう) てきとうにパーカーを着込みロングスカートを履いて、ノーメイクのままマスクをして商店街に向かった。 “甘酒横丁”と金文字で書かれた黒い看板。その商店街の並びに、お値打ち価格のスーパーがある。 そこで食材を買ってから、駅近の銀行で記帳して帰ることに決めた。
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