12.快晴のち、

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忙しさから口を尖らせ、やや怒ったように言う女性従業員。 「大変な中、イベント開催に携わってくださりありがとうございます。柳川さんにも全従業員にボーナスを出すように頼んでおきますね」 中町さんが爽やかに笑うと、女性従業員が頬をわずかに染めた。 私と中町さんは“カップヌードル製作所”というオリジナルカップラーメンを作る工房に行く。 この二日間の特別イベント限定の具材と容器が用意されるという、特に力を入れているアトラクション。お値段もその分百円値上げされるらしいけれど、ラーメン丸くんのデザインが施された容器は、値上げ分以上の価値があると思った。 「では中町さんと幸田さんには、お客様の様子を見て、やり方が分からなそうな方のサポートをお願いできますか?それから具材が無くなった時の補充もお願いします」 「分かりました」 私たちはそれぞれ違う場所へと、お客様の見守りをしに行く。特にお子様連れのお客様が大変そうにされていて、私は子供たちのサポートを中心に回った。 「お姉ちゃんありがとうー!」 女の子が手作りのカップラーメンを持ちながら私に手を振る。可愛さにクスッと笑みが漏れながら「じゃあねー。ありがとう」と言って手を振り返した。 「幸田さん、そろそろ事務所に戻りましょう。イベントの出番もあと二時間を切りました」 他の従業員の方とバトンタッチして、私たちはカップヌードル製作所を後にした。
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